こんにちは、ター坊です。
積水ハウスさんのモデルハウスで営業マンKさんから聞いた一括借り上げシステムと家賃保証。
空室でも家賃が入る夢のようなシステムと聞き、喜び共同世帯主になるであろう母に報告したものの、なんとなく心に引っかかるところが・・・
そんなにうまい話・・・あるかな?
そこで、家に帰り早速検索開始。
すると出てくる出てくる・・・
一括借り上げと家賃保証のリスクとデメリット!
むむむ・・・こんな話は全く聞いていなかった。
そんなわけで、私がネットでまとめた一括借り上げシステムの特徴を今回は少しまとめてみます。なお、ここで書いているのは積水ハウスの話ではなく、私が自分で調べた一般論と個人的な考えで、一括借り上げシステムのメリット、デメリットをまとめたものでうs。
ちなみに”赤いマーカーを引っ張ったところ”が、特に注意すべきポイントです。
また、結論から書きますと、一括借り上げシステムはデメリットの塊の全てが悪いシステムというわけではなく、条件やオーナーの望むもの次第では有効活用できる仕組みだと思います。(ただし、不動産管理会社はよく検討する必要あり!)
一括借り上げシステム(通称サブリース)と家賃保証とは?
まず、リスクを書く前に、そもそも一括借り上げシステムと家賃保証とは何かを、簡単にですが改めて記載します。
一括借り上げシステム(=サブリース)とは?
一括借り上げシステムですが、通称サブリースと言われています。仕組みを簡単に書きますと、建物にお金を出し建築するオーナー(今回の場合は私たち)から、不動産管理会社がその賃貸物件(建物一棟または一戸一戸の賃貸スペース)を借りて、その賃貸物件に入る入居者の募集から入居後の建物管理までを行います。要は管理会社が自分たちで借りた部屋を他の人に又貸しする、ということです。
家賃保証とは?
一括借り上げシステムによって、不動産管理会社に借り上げられた賃貸物件については、その会社が借り上げている間、入居者の有無にかかわらず会社と交わした契約書に記載された賃料を会社が毎月建物オーナーに支払ってくれるのです。(この契約書に記載された賃料がポイントです)。
どれくらいの期間家賃は支払われるの?
これは各社のサービスや契約によりますが、10年更新で最大30年、というところが多いようです。つまり、一見30年間は安定した家賃収入が入るように見えます。が、後ほどのデメリットで書くとおり、実は途中契約解除という大きな問題点があります。また、入居者の入れ替わり時などに管理会社から家賃が支払われない猶予期間が設定されていることがほとんどですが、この説明が実は意外とされていません。
管理費はどれくらい取られるの?
サブリース会社が受け取る管理費は、会社によって異なりますが、家賃収入の10%~20%というのが相場のようです。なかには20%を超えるところもあるようです。
お金の流れとしては、入居者が家賃を支払い、その家賃から管理会社の管理費分が抜かれた金額(もともとの家賃の80%~90%)が建物オーナーの手元に入ることになります。
個人的には、家賃収入の20%は今まで調べた限りでは、かなり高いほうだな、という印象です。というのも、ここからさらに建物が老朽化した時のための修繕費が差し引かれ、固定資産税や所得税などの税金も支払わなければならないことを考えると、賃貸からの実際の利益はだいぶ圧迫されるからです。
ちなみに積水ハウスの一括借り上げは10%なので、決して悪い数字ではないと思います。
また、月額管理費として上記のような金額がかかることは営業マンからの話があったり、ホームページに書かれていますが、実は賃貸入居時の礼金全額や2年ごとに発生する更新料も全て管理会社の収入になり、建物オーナーはもらえないという契約がほとんどです。
一括借り上げシステム(サブリース)のメリットとは?
賃貸経営の全てを丸投げ可能!
最大のメリットの一つです。不動産管理会社と一括借り上げの契約(サブリース契約)をすれば、その後は集客、入居後のトラブル対応まで全てやってくれるので、はっきり言ってしまうと、物件建築または購入後、募集業務・管理業務などほとんど何もせず放っておいても家賃が入ってくることになります。(トラブル時などに管理会社から相談を受けたりすることはもちろんあります)
ですので、建物購入後、面倒なことは何もしたくない!とか、賃貸物件がオーナー宅から遠くて、管理業務はほとんどできないし誰かに丸ごと任せたい!という方には便利です。ただし、こういった場合は、一括借り上げにしなくても管理委託という別の契約方法で十分!ということもあるので、慎重に判断する必要があります。(この管理委託については、また別の機会に記載します)
入居に関わらず家賃が毎月確実に手に入る!
当初の私にも突き刺さった、一番のメリットはこれだと思います。賃貸経営の最大のリスクは、”空室リスク”という入居者が入らないことでその部屋からの収入がゼロになる状態(一方で、オーナーが建築した建築費のローンなどは払い続けないといけない)と言っても過言ではありません。つまり、その部屋単体の経営としては大赤字になる、ということです。
一括借り上げによる家賃保証があれば、この空室による家賃ゼロ、という最大のリスクが無くなります。つまり、一見リスクゼロで賃貸経営ができるように見えます。
これは、空室時も管理会社が建物オーナーに賃料を支払い続けないといけないので、管理会社が我々オーナーの代わりに空室リスクを背負ってくれている、と言うことができます。
一括借り上げシステム(サブリース)のデメリット、リスクとは?
一括借り上げシステムのデメリットやリスクについては、結局この3つに集約されるのではないか、と個人的には思っています。
賃料は当初契約のものが保証されるわけではない!家賃は下がる!
サブリースによるトラブル、で調べると必ず出てくる話がこれです。
”家賃が保証される”というと、大変響きがいいのですが、実は、
ということです。家賃というのは、普通は新築時が一番高いです。そのため、不動産管理会社との最初の接触で、設定家賃が仮に月額14万円だった場合、
契約期間中ずっと14万円ずっともらえるから安心だ~
と勘違いしてしまうケースが結構多いようです。というか、私も話を聞いた当初は完全に勘違いしていました。(これは完全に営業マンの説明不足等も原因だと思いますが)
ところが、家賃は年々下がっていきます。10年経てば12万円、20年経てば10万円・・・と。つまり、最初の家賃が保証されているわけではないのです。
そして次の2番目の”途中契約解除”につながるのですが、この家賃設定を建物オーナーが自由に設定できないところが最大の問題点だと思います。
どういうことかというと、この一括借り上げ契約では、管理会社が毎月家賃を建物オーナーに支払い続けなければいけないので、前述のとおり、入居者が入らない空室リスクは管理会社が背負う状態となるのですが、管理会社としては当然赤字は出したくないので、
という状態に入るのです。かなり極端な話ですが、通常であれば14万円で貸せる物件で、空室が続いて13.5万円に賃料を落としたら入居が決まる、といった物件であっても、管理会社としては少しでも空室期間を無くしたいため、一気に10万~11万円まで賃料を下げようとする、ということもあり得ます。
これでは、当初の収入計画とかなり大きな乖離ができてしまいます(毎月3万円以上の減収ですので)
であれば、家賃を下げないようにお願いすればいい、となるのですが、次の”契約解除”の点から、そのようにいかないことが多いのです。
契約途中解除の可能性あり!
1つめの家賃の変動の話で、建物契約をしたオーナーが強い立場に立てない、つまり一括借り上げ契約(サブリース契約)の一番の元凶になりうる要素がこちらです。
サブリース契約を結ぶ際に、建物オーナーと不動産管理会社は当然契約書を取り交わすのですが、ほぼ全ての契約書にこの契約解除の条項が入っているはずで、物凄くシンプルに書くと、
ということです。
これは、普通の賃貸契約のように、賃料の折り合いがつかなかった場合は入居者が出ていく、というのと根本的には同じ考え方で、管理会社が希望する賃料に応じない場合、もう契約を辞めますよ、ということです。
これにより、管理会社は確実に入居者を得て空室リスクを無くそうと一般的な相場よりも家賃を下げることを希望し、それに建物オーナーが同意しなかったらサブリースの契約を解除し、オーナーは野放し、というトラブルが多発しているようでうs。
時々テレビでやっている、「サブリース問題」「一括借り上げによって借金地獄に・・・」のような特集は、ほとんどの場合がこのケースだと思います。(賃貸物件系に強い大手のレオ●レスなどもこういったトラブルで訴訟が多数起きています)。
以前はこういった特集には全く興味を持たずすぐにチャンネルを変えていましたが、自分が賃貸併用住宅を考えるにつれて、よくこういった特集も見るようになりました。
いずれにせよ、この実質的に家賃設定を不動産管理会社側がコントロールできてしまう状態が、サブリースの最大のリスクではないかと思っています。
そして、この不動産管理会社の立場の強さを裏付けているのが次に記載する賃貸借契約なのです。
賃貸借契約上のお客様は不動産管理会社!立場は管理会社が上!
建物オーナーと一括借り上げを行う不動産管理会社の間のサブリース契約は、普通賃貸借契約と呼ばれるものです。
こちらは、いわゆる賃貸オーナーと賃貸の入居者が普通に結ぶ契約と大きく変わりません。この契約のポイントは、借主にとっても有利なことです。
一例でお伝えすると、
- 入居者は、事前に予告した期間前に解約を申し出たり、中途解約金などを支払うことで契約を解除することができる
- 入居者が住み続けたい意向がある状況では、正当な理由が無い限り、賃貸オーナーから契約を解約することはできない(強制立ち退きなど)
といったことなどがあります。
基本的に入居者(借主)の権利を守るために設定されているので、オーナー(貸主)側の不当な要求を入居者が受け入れなくて良いようになっています。ですので、自分が賃貸に入居者として住む場合には、とてもいい契約形式になると思います。
ところが、これが貸主が建物オーナー、借主が不動産管理会社のサブリース契約になると状況が一変します。なぜなら、
だからです。
サブリース契約でトラブルが起きた場合、通常、弱い立場にまわるのは、不動産投資や管理の知識が少ない個人の建物オーナー(プロである不動産会社や建築会社に比べて少ないということです)になることが多いです。
ところが、いざ大きなトラブルが発生して、契約解除や訴訟問題などが発生した時に、この普通賃貸借契約書によって守られるのは素人の建物オーナーではなく、プロの不動産会社や建築会社になることが多いのです。
上記の賃料設定で揉めた場合、不動産管理会社の賃料引き下げ要求に建物オーナーが応えなかった場合、正当な形で契約解除ができてしまうことになります。
その他、サブリースで気を付けておかなければいけないこと、、、
私が色々調べてきた中で、上記3つが一括借り上げ(サブリース)での数多くのトラブルを引き起こす根本的な要因だと思っています。
が、上記3つの内容に付随して、それ以外にもこの契約には色々と気を付けておかなければいけないことがあります。一例としては、
といったことが挙げられます。
1、2の免責期間は、契約直前まで説明されないことも結構あるようです(これは完全な悪徳なやり口ですね)。
また、意外と嫌な契約内容となるのが3つめで、多くの場合、サブリース契約をする不動産管理会社は建築会社やハウスメーカーのグループ会社であることが多いため、建物の老朽化や入居者が入らない場合の修繕、リフォームなどは、その建築会社、ハウスメーカーが指定されており、その会社にお願いしなければならなくなってしまうケースが多いようです。
ここでのリスクというのは、ズバリ、この建築会社やハウスメーカーの修繕費、リフォーム費用が一般的な相場に比べて、かなり高い可能性があるということです。
一例ですが、入居者がなかなか決まらない老朽化した建物の場合、不動産管理会社としては空室をできるだけ減らしたいため、賃料は下げつつ、指定された修繕費の高いグループ会社の建築会社やハウスメーカーに発注をする、というケースがあり得るため、建物オーナーとしては、収入は落ちるがコストは上がる、というかなり苦しい状態を強いられる、そして契約上、それを飲まざるをえない、ということになりかねないのです。
まとめ~一括借り上げ(サブリース)のメリット、デメリットを見極める~
初めて一括借り上げシステム(サブリース)の話をハウスメーカーや不動産会社の営業マンから聞くと、まずは「賃貸管理が楽」「空室リスクが無い」「安定した家賃収入」という大きなメリットの話になり、ついい話に飛びついてしまいがちなので(実際、初期の私もそうだったので)、敢えてデメリットをメインに記載しました。
ただ、一応補足しておきますと、この一括借り上げシステムが全て悪いシステムか?というとそんなことはありません。
- 家賃は下がり、自分たちの希望通りにならないことが多いとはいえ、空室でも一定額の家賃が入り続ける
- 入居者の募集から建物管理、入居者とのトラブル時の対応を行ってくれる(ただし、これはサブリース契約以外でも色々と方法があります)ただ、この一括借り上げシステムが全て悪いシステムか?というとそんなことはありません。
というのは事実です。
とにかく賃貸経営を丸投げしたい、建物への投資資金、運用資金は潤沢で、空室によりその部屋から月に1円も入らなくなることは避けたい、という方には、選択肢になりうるのかもしれません。
ただし、上記のとおり、
- 最初の家賃の金額が保証され続けるものではない
- 家賃引き下げなど、不動産管理会社の要求を飲まなかった場合、途中解約される
- 途中解約をはじめ、不動産管理会社と揉めた場合に、建物オーナーが不利になり賃貸借契約を結んでいる
という大きなリスクがあることについて、事前にしっかり把握し、覚悟をしておかないと、あとで
こんなはずではなかった・・・
というとんでもない事態になりかねません。
インターネットの記事やテレビのニュースでも取り扱われえるような、一括借り上げシステムによる、建物オーナーの破綻や訴訟トラブルが多数あるのも事実だと思います。
重要なのは、
契約内容をよく理解し、自分たちのケースでこの契約が適当なのかを判断する
ということだと思います。
この一括借り上げシステムについては、積水ハウスさんと最終的な契約を結ぶまで、何度も何度も自分で調べ、時には地場の不動産屋さんにも話を聞きにいったりもしました。もちろん、積水ハウスさんともこの件については何度も相談しました。
ですので、今後もこのブログの中では、一括借り上げシステムの是非やメリット、デメリットについては何度か情報を発信していくつもりです。
ちなみに、前回の初めて積水ハウスのモデルハウスに行った段階で、積水ハウスの営業Kさんが一括借り上げシステムの紹介を私たちにしたのは、営業マンとして当然の行動だと思っています。賃貸経営は積水ハウスの強みの一つでもありますし、賃貸経営のド素人である私たちにとっては、一括借り上げシステムのほうが賃貸経営に関する安心感を与える、と思ったのだと思います。
事実、この一括借り上げシステムの話を聞いて、より積水ハウスや賃貸併用住宅の建築に興味を持ちました。
上記にまとめた内容も、色々と知っていく中で徐々に知っていった内容です。
というわけで、ハウスメーカーの選定とともに、本当に賃貸併用住宅という選択肢でいいのか?そして、賃貸をつける場合は果たしてサブリースがいいのかどうか?という悩みの中で揺れ動く2カ月がまさに始まろとしていたのでした・・・
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